この本は、1960年に日本評論社が出版した本です。
「はじめに」の部分で、
「今やマス・コミ時代で文章が大量生産されていること」
「文章を書く層もずっと広くなっていること」
「平素文章を書き慣れない人々にも、文章を書かなければならない機会が増えていること」
などが挙げられ、その結果として
「世の中の文章が必ずしもきちんとしたものとは限らないこと」を指摘しています。
1960年代をこのような感じで悪文時代と呼ぶならば、2022年の現在はどうなっちゃうのでしょうと心配になりますね~。
現代では、それこそ普通の人がこういったブログやTwitterなどで文章を書くことが当たり前のようになっています。状況としては、良くなっているとは思えません。
そこで、この本は「相手にわからないような、相手にわかりにくいような文を悪文」と定義して、悪文にならないようするためのポイントを教えてくれるという、すごい本なのです!
悪文とはどんな文?
じゃぁ、悪文とはどんなものなのかと言われると…悪文にも色々あるらしいですが、一つの文章が長すぎるのが一番の問題点でもあるようです。
「が」とか「の」というような「助詞?」を使って、すご~く長い一文を作ると、主語とか述語とかがこんがらがって、読んでいてわかりにくくなるそうです。
ワタクシも国語が苦手なので、あまり詳しく説明はできませんし…詳しく知りたい人は、この本を読むべきだと思います。
この本の内容
この本は、編著の岩淵悦太郎さんの他7名の方が分担して執筆されています。
それぞれの章という区切り方でいいんでしょうか。
悪文いろいろ 岩淵 悦太郎さん
構想と段落 林 四郎さん
文の切りつなぎ 宮地 裕さん
文の途中での切り方 高橋 太郎さん
文の筋を通す 野元 菊雄さん
修飾の仕方 宮島 達夫さん
言葉を選ぶ 水谷 静夫さん
敬語の使い方 斎賀 秀夫さん
順番に読んでもいいと思いますし、気になる部分から読んでも大丈夫です。
最後には、索引という感じの「悪文をさけるための50か条」というのが巻末に書いてありまして、気になるタイトルから本文を読むこともできます。
岩淵悦太郎さんってどんな人?
岩淵悦太郎さんは、1905年生まれ…明治生まれの方ですね~。福島県白河市出身の国語学者です。1978年にお亡くなりになっています。
国立国語研究所の所長や、国語学会代表理事、国語審議委員という要職を担われたそうです。すごい方ですね。たくさん、本も出ているそうなので、読んでみたいですね~。
気になる本もありますね。
「現代日本語 ことばの正しさとは何か」(筑摩書房)…たしかに…何が正しいんだろう。
「国語の心」(毎日新聞社)…国語の心ってなんだろう…。気になる…。
こういったことって勉強したっけ?
この本は、読んでいて非常にわかりやすくて面白いんですよね~。
ただ、こういう文章の書き方とかって国語の授業でやりました?
いや、小学生だとちょっと難しいかもしれません…中学生や高校生なら…こんな感じの文章を書く授業というのがあってもいいと思いますね~。なかったと思うんですが…。
ぜひ、我が家の子ども達にも読んで欲しい。
ワタクシは、学生の頃は国語が苦手でしたので、こういった文法とか苦手でした。長文読解なんかも苦手で、「作者が何を思っているのか書きなさい」という問題にはかなり手こずりました。
誰もが一度は思うと思うのですが、「あんたの気持なんかわかるかい~」ってやつです。
以前、何かの本で…作者が生きている方の文章が国語のテストにでて、その答えをみて作者が、「そうだったのか…」と言ったとかいう笑い話を読んだことがありますが、その本を読んだとき「ほらね」と思った記憶があります。
書いた本人の思いと、読んだ人の解釈の違いってあるでしょ~ってね。
ただ、今回のこの本を読んで、ちょっと考え方が変わりました。
けっこう、はっきりと特定することができるみたい…。
文章というのは、誰かに何かを伝える、知ってほしいということですよね。なので、相手に伝わるように書くと思いますが、主語や述語や「が」とか「の」とかの言葉を駆使して正しい文章を書くと、かなりの確率で気持ちであったり状況であったりが特定することができるようです。たぶんね。
相手に何を伝えるのかを明確にして、必要な言葉を組み合わせて、正しく配置する。
これが大切なことなのですが…これができれば苦労はしないですよね~というわけです。
文字数の制限だったり、状況が複雑だったり、見方、感じ方が複数考えられるよね~という場合も多いでしょうけども、わりといけそうな感じがするんですよね~。
いや、国語ってすごいな~っと感じました。
本を読んでも頭に入ってこないのは…
というわけで、本を読んでも頭に入ってこないなぁ~っと言う時は、ワタクシの頭が鈍いのではなく、文章が悪いのかも…ということにしておきます。
だって、この【悪文】という本は、さすが!わかりやすくて読みやすいです。言葉がやさしい!
こんな国語の授業があったらなぁ~っと思っちゃうくらいですね。ほんとに。
というわけで、ワタクシもこのブログで悪文を増産するのではなく、すこしでもわかりやすく読みやすい文章を心がけようと思いました。
言葉は変化する。
この本が出版された1960年代と現在では、使っている言葉は微妙に違ってきています。言葉は常に変化しています。
LINEやTwitterが出てから、話し言葉で文章を書くことが多くなりましたね。どちらかというと…お手紙とか絵葉書に書くような文章が多くなりました。
今では、さらに進化して、「オッケー」とかも言わなくなりましたね。「オケ」とか…。
「Ww」って何だろう?とかね…。
このような状況だからこそ、文章の正しい書き方とかが重要になってくるんですよね~。現代でも通用する文章の基本がこの【悪文】に書いてありますので、ぜひ、読んだ方がいいですね~。
話ことばもあるのでは?
言葉という意味では、文章の他に「話し言葉」もありますよね~。この本の中でも、ラジオとかでわかりやすい、耳に入ってくる文章というのが紹介されています。
YouTubeを見ていても、何を言っているのかわからなかったり、言葉間違ってるよ~というようなことも多くあります。意味を勘違いした「ことわざ」を使ってしまったりね。
でも、収録した後に編集するので、文字テロップで直したりして対応していますよね。ああいうのを見ると、「ちゃんとしてるな~」と思ったりします。
ことさら目くじらを立てる必要はありませんし、お互いに正しく言葉を使えたらかっこいいなぁっと思いますよね~。
まとめ
さて、今回はカドブン夏フェア2022で購入した岩淵悦太郎さん編著の悪文の感想でした。
本は、文庫あとがきまでを含めて285ページ。800円(税別)
この本には、KADOKAWAのしおりが挟まってなかったなぁ~。
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