あちらコチラにある積読から抜き取った1冊の本。
「お、銀英伝じゃん」とパラパラめくってみると…雰囲気が違う…。
あれっと思って表紙をみると…「銀河英雄伝説列伝1」とあった。
あぁ~。そういえば…買ったかもしれない…と遠い記憶の片隅に…ちらほら。
どれどれ…ということで、読んでみました~。
銀河英雄伝説列伝とは…
この銀河英雄伝説列伝とは、銀河英雄伝説を好きな作家たちが書いた作品集ということで、田中芳樹さん公認の公式トリビュート集だそうです。
トリビュートという言葉は、聞きなれませんが「尊敬」とか「感謝」という意味だそうで、銀河英雄伝説に感謝しつつ、物語を書いてみたというものですね。それを、田中先生に読んでいただくわけですから…作家の皆様方も非常に緊張したのではないでしょうか~。
ファンのワタクシも緊張しちゃいますね~。
だって、今までも同人誌とからいとすたっふ公認という形で、色々な作品がありましたが、この銀河英雄伝説列伝というのは、創元推理文庫の銀英伝の横に16冊目?17冊目だっけ?として並ぶのですよ…。こりゃぁ、一大事じゃないですか…。
そもそもこの本を読む人は?
さて、この銀河英雄伝説列伝を読む人は、どんな人でしょうか?
銀英伝のファン。少なくとも、読んだことがある人でしょうね~。銀英伝を知らない。読んだことがない人は列伝は手にしないはず…。たとえ読んでも…誰?って話になっちゃいますよね~。
さらに、このブログのページを読んでいる人も…銀英伝のファンか…読んだことがある人ですよね。
ですので、ここでは銀英伝とはどんな話なのかとか、銀英伝の魅力!とかいう話はいたしません。
あくまで、この列伝を…吟味したいと思っているのです!ファンとして!
楽しく読めればいい!
ワタクシは、銀河英雄伝説の…まぁ、それなりのファンだと思っています。
ファンと言っても、色々なファンがいますよね~。アニメのファン、漫画のファン、キャラクター、声優、メカとかグッズとか…それが複雑に絡み合っているわけですが…。
ワタクシは、読むファン。銀英伝の本を読むのが好きなんですよね~。なので、小説を何回も読みましたし、現在も読んでいます。ただ、好きな巻と読みたくない巻(泣いちゃうから…)があるので、全体のバランスは良くないですね~。
だからと言って、原作に忠実に…などと言う気持ちはサラサラありません~。
アニメもそうですが、新しい銀河英雄伝説があってもいいと思っています。多少解釈の違いがあっても全然オッケーなわけです。歴史ってそんなもんですよね〜。まぁ、話が変わってしまっては困りますがね~。ですので、今回の列伝を読んでも、話し言葉とか雰囲気とか違っていることもありますが、ある国の歴史上の人物を後世の歴史家が描くとき、まぁ、こんな風になるだろうな~と思うので、まぁ、それはそれで、いいのではないかと思っております。
物語は全部で6作品!
物語は全部で6作品あります。
1、竜神滝の皇帝陛下 小川一水
ラインハルトとヒルダの新婚旅行のお話。
2、士官学校生の恋 石持浅海
キャゼルヌの奥様のオルタンスの名推理!ヤンとキャゼルヌの出会いも書いてあったかな?
3、ティエリー・ボナール最後の戦い 小前亮
唯一の艦隊戦が登場!ウランフ中将の若かりし頃!そして陰謀が…。
4、レナーテは語る 太田忠司
あのオーベルシュタインが犬を飼った理由がわかった!
5、星たちの舞台 髙島雄哉
ヤンの士官学校時代にこんな出来事が…?
6、晴れあがる銀河 藤井太洋
ルドルフが皇帝になったころのお話ですが、こうやって歴史は動いていくんですね~。
というような、感じになっております。
これから読むぞ!という方のために、簡単に内容も書いておきましたので、気になる方はぜひ読んでみてください~。読んで損はないと思います。
もちろん、好き嫌いもあるでしょうし、戦闘シーンも少ないのですが…銀英伝を知っていればこそ、「おっ」っというような部分がたくさんちりばめられておりますので、楽しめると思います。
ちなみに、主要な登場人物にも触れておきますと…
1、ラインハルトとヒルダ
2、ヤンとキャゼルヌとオルタンス
3、同盟中心の艦隊線でウランフ中将、若かりし頃の黒狐。
4、若いころのオーベルシュタイン
5、士官学校生の頃のヤン、ラップ、アッテンボローとジェシカ
6、主要なメンバーは登場しません。
という感じになっているので、帝国側が2作品、同盟側が3作品、ゴールデンバウム王朝が1作品となっております。
ネタばれもあるぞ、一刀両断!
というわけで、この先は…ネタばれもありますので、ご注意ください~。また、今回書いてくださった6人の作家さんのことは、ワタクシは存じ上げませんでしたので、先入観なく読むことができたと思っております。
竜神滝の皇帝陛下 全68ページ
一番最初の作品ということで、緊張して読み始めましたが…面白かったです。ラインハルトとヒルダのぎこちなさだったり、子どもに対する感情だったりとか…たぶん、小川さんにはお子様がいらっしゃいますね。うん。
ただ、うん。ブリュンヒルトは…必要なかったのでは…と思ったり…でも、まぁ、橋をぶっ壊したというくだりも面白かったですけどね…。
ただ、最後にエミールを助けたのはブリュンヒルトか~っていうのは残念だったなぁ~。やっぱり、ここは…いざとなればシュトライトよりも早く動ける皇帝が飛び込むという姿も見たかったなぁ~。
ヒルダがエミールにホットチョコとかね。
それから、色々と…ハンスだったりブラウンシュヴァイク公だったりと…細かく色々でてきて楽しかったですね。
士官学校生の恋 全48ページ
士官学校生の恋の話です。ほとんどが会話ですので、サクサク読めますが…それでもヤンとキャゼルヌの会話は…間延びしてしまっているような感じがしますね。
ちょっと、前半はつらかったかもしれません。ただ、オルタンスとキャゼルヌの会話になってからが、がぜん面白くなってきましたね~。
ティエリー・ボナール最後の戦い 全69ページ
同盟軍の補給基地に対する攻撃から幕をあけたこの作品は、タイトルにもあったので戦うんだな~っとわくわくしておりました。そして、面白かったですね~。
攻撃を受けたことは受けたらしいが、敵は誰なのかがわからない。それを調査するために、第9艦隊が派遣されるのですが、その艦隊にいるのがウランフ少将です。
この戦いで、中将に昇進して第9艦隊を率いることになるんですね~。なるほど。
やがて、この攻撃は帝国軍の攻撃だとわかるのですが、攻撃を受けたのはイゼルローン回廊近くの基地じゃないことから航路情報が盗まれたのでは…という事件、事故、スパイなのか…という複雑な展開もありえそうな話に…。
と、ここで登場するのが、自治領主補佐官のアドリアン・ルビンスキーでした。そっちか~っと納得の展開に…この時の自治領主はワレンコフ。本編では、地球教を裏切って、何かしようして失敗したことになっていたと思いますが、どういう事があったのか…というのは書かれていなかったと思います。その部分が書かれている感じですかね。
ただ…ん~。本作のアスターテ会戦が宇宙歴796年でして、このティエリー・ボナールの戦いが791年、この時にルビンスキーが自治領主になったとすると…5年で…何歳になるの?
アニメで出てきたときには…かなりの年齢のおじさんだな~っと思っていましたが…。
総大主教猊下のプレッシャーによって老けてしまったのかもしれませんね…。
ま、とにかくこちらも、色々と面白かったです。そして、ボナールのその後が気になりますね~。もし、スタジアムには駆け付けなかったとしても、バーミリオンに参加してくれてれば…っという感じですかね〜。
レナーテは語る 全68ページ
読み始めからは、まったく予想できなかったですね~。のどかな田園風景の描写からアンネローゼでも出てくるのかと思いましたが…まさか、あのオーベルシュタインの話だとは…。確かに、銀英伝のエピソードの中で不思議な、面白みのある話題ではあるので、先に書いたもん勝ちというか、まぁ、誰かは書くだろうお話ですね~。
ただ、まぁ、相手がオーベルシュタインだとすると…一筋縄ではいかないストーリーになるはずで、以外に難しいのでは…と、さらに、殺人事件を解決するという推理小説のような展開だと、さらに難易度が上がってしまうのではないかと心配になりました。じっさい、どこまでがオーベルシュタインの仕業なのか…という謎は残りますよね~。最初の殺人事件も、オーベルシュタインが裏で色々と動いた結果だと読むこともできちゃうわけですよね~。
まぁ、なんとか今回の話はうまくまとまったとは思うのですが…。オーベルシュタインが犬を飼うきっかけとなったエピソード。これは、たまたまでしたよね。「閣下の犬ではないので?」「私の犬に見えるのか」というようなやり取りの時に、レナーテの進言を思い出したのか…?
俺の嫁さんは可哀そうだから犬を飼えという小娘の進言を思い出して…即決で決断?
ん~。そうなると…ちょっと、面白みに欠けるな~。この「みえる」という部分が面白いところですよね。「そう見えるなら、そうなんだろう」と判断した。意外と見え方に気を配っていた方なのかもしれないですね~。もともと目が不自由なだけに…。
まぁ、でも面白かったですね。オーベルシュタインがひっぱたかれるシーンも見たかったですね~。
緊急定言! 2023年9月8日更新!
いや…これは、やっちまったんじゃないですか?太田さん…。
ワタクシは、このページを読み返していて気づいてしまったのです。
やっぱり…史実としては、オーベルシュタインはレナーテに引っ叩かれていますね。
というのは、太田さんのこの作品の中でオーベルシュタインは、レナーテとの会話の後にラインハルトに会いに行っています。
ファンの方、思い出してください。この時に、オーベルシュタインはキルヒアイスと会って会話をしています。その時、義眼の調子が悪くなりましたよね?
そんなに都合よく義眼の調子が悪くなるかい〜っと思っていましたが、レナーテにひっぱたかれた事により、うまい具合になった。そんわけで、レナーテに感謝の気持ちも芽生えた…というのもありかな〜っと思いますよね〜?
ん〜奥が深いぞ銀英伝!
星たちの舞台 全72ページ
ん~。話としては、まぁ、そんなこともあったかもしれないと思える。ただ、わざわざ物理学の問題をだして演劇する必要があるのか…と思う。
銀英伝を自分の領域で調理しようということなのかもしれませんが…SFに実際のヤン=ミルズ理論をもちだしても限界があるんじゃないですかね~。だって、ヤン達がいる時代には、ワープも反重力装置もあるわけで…当然、物理学の理論は構築されているわけですから…なぜ、ヤン=ミルズ理論がでてくるのか…もっと、すげー理論があるんじゃないの?とかね。
ミノフスキー粒子とかイゼルローンの主砲は、波動砲だったとかだったら、おったまげたけどね…。
なので、演劇のセリフだけ読んでも、何のこっちゃ全然わからないし、なぜ、そこが抜粋されているのか微妙じゃないですか…やっぱり戯曲を1本書くくらいじゃないと…とは思いますね~。
ん~、ちょっと、色々と不満の残る作品だったかなぁ~と思います。
晴れ上がる大河 全41ページ
そして、最後の登場するこの作品は…良かったですね~。面白かった。
そうですよね~。歴史って言うのは、必ずしも名前が残ってる人達だけが作ってるものではないんですよね~。
銀英伝の中にも、こういった歴史に埋もれてしまった人たちを主役にした作品があってもいいですし、歴史の繋がりというのがあって…いいですね。
これは…内容は書かないでおきます。そのぐらい良かった。
銀河英雄伝説列伝が…17冊目に並べてもいいよね~っと思えるのは、この作品のお陰かな~。
一番短い作品ですので…立ち読みでも読めちゃいますが、この作品は必読です!
ファンなら必読ですね~。おススメ!
まとめ
というわけで、銀河英雄伝説列伝の感想を…書かせていただきました~。
ちょっと…申し訳ないような表現もあったかもしれませんが…一人のファンとして、思ったことですので、ご容赦ください。
銀河英雄伝説列伝は「1」とついていますので、2、3と続くのかもしれませんが…ファンしか買わないからね~。どうなんだろう…儲かるのか?と心配になってしまいますが…色んな方に、チャレンジしていただいて、ファンの幅を広げて、銀河の歴史を分厚くしていただけたらいいなぁ~っとおもっています。
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