早瀬耕さんは「彼女の知らない空」で夫婦の恋愛小説を書きたかった!

本や読書。

 今回は、早瀬耕(はやせこう)さんの小説「彼女の知らない空」を紹介します。
 恥ずかしながら…私は、この作品に出合うまで早瀬さんを知りませんでした。ところが…読んでしまったが最後、ファンになってしまったのです。ぜひ、皆さんも不思議な魅力の早瀬さんの作品に触れてみてください~。

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本との再会

 この本とはちょっと運命的な再会をしたな…っと思っています。私は作者の早瀬さんを知らず、小学館の「きらら」という小冊子の読切で「彼女の知らない空」という短編を読みました。即座に面白いと感じ、購入予定本メモに記入した…と思っていたのですが、手元にスマホがなかったのか筆記用具がなかったのか…メモがされていませんでした。
 当然、すっかり忘れてしまっていたのですが、本屋さんをフラフラ~っとしている時に、横目で「あぁ~綺麗な表紙だな」と思いながら通り過ぎようとすると…まて!今、なんて書いてあった?
 2度見したタイトルが「彼女の知らない空」。あれ?これは…何か…もしかして…と手に取り裏表紙のあらすじを読むと、BINGO!
 静かな書店内で、静かに大きくガッツポーズをとると…即購入したのでした。

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読んでみた感想は…

小学館公式Twitterより

 さこの本には、7つの短編が収録されており、どれもドキッとするような内容です。作品中の登場人物達には、それぞれの生活や考えなどがあるのですが、世の中の大きな流れには逆らえない、抗おうともするんですが簡単ではない。そういう意味でなのか、戦争にまつわる話が多いですね。個人ではどうしようもないということなのでしょうか…。

 この後は、若干ネタバレ的な内容も含まれますので、ご注意ください。

 とくに、短編集のタイトルにもなっている「彼女の知らない空」という作品は、航空自衛隊に勤務するパイロットの話で、憲法九条が改正されて日本も戦争に参加できるようになった時の話なのですが、もう「怖い」のと「ありえそう」という非常にリアリティがあり、何とも言えず動悸が激しくなりました。
 実は、すでにこういった無人攻撃機は活動していて、戦争にも使われています。実際に操作している人がどういう思いでいるのか…というのは、わかりませんが…それでも、実際に操縦をして「ミサイルなどのボタンを押す」という行為には、複雑な思いがあるのではないでしょうか。やはり、人間は相手が見えると撃ちづらくなるようです。

 そこで、最近ではAIが自動で判定して撃ってくれるという技術も検討されているとか…。
 かなり怖いですよね。自分の頭上にドローンが来たな~っと思ったら、「ズドン」とやれらちゃうかもしれないのですからね。そうなると困るので…AIの自動判定を鈍らせるアプリとかが開発されるかもしれませんね~。いずれは、AI対AIの対決みたいな世の中になりそうです。レーダーなんかもそうですよね。ステルスとレーダーのいたちごっこみたいな…。

 そうなると…ミノフスキー粒子の散布(有名なアニメにでてくる)みたいな感じでハイテク機器が使えなくなったり、屋内だとゼッフル粒子(こちらも某アニメにでてくる)なんてのもあって、火器が使えないなんてことにも…。そうなると戦国時代のように、人が直接戦うことになってしまうんですよね~。

 その前に、戦争はなくせないのか…とも思いますよね~。つねにどこかで、誰かが戦っていて亡くなっているという世の中です。自己防衛も大切ですが、戦争が起きないようにする方法も考えていかないとなぁ~っと思いました。
 平和のために戦うみたいな不思議な感じにならないように、気をつけながら考えていかなければなりませんが、考えてるだけでもなぁ~っとも思うと同じところをグルグル回っているような感じです。

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早瀬さんの本は難しい…?

 早瀬さんは「グリフォンズ・ガーデン」という作品でデビューしました。この作品は、現実と仮想現実の恋愛を描いたものですが、書かれたのが1992年ということで、我々にも仮想現実とかあまり馴染みがなかった頃なので、ちょっと難しいな…と感じられた方が多かったようです。たぶん、現在ならすんなり読めると思います。
 また、デビューから20数年後に発表された「未必のマクベス」も面白いんですが…やはりマクベスですから、シェイクスピアのマクベスになぞらえている部分もあるので、そのあたりにひっかかる方や、お話も長いので多少、中だるみしちゃう部分もあるようです。ただ、もう、一気に読ませる力はあるので、ある程度まとまった時間に、ドバーッと読んじゃうほうが面白いと思います。

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どんな人におススメなのか…

 すべての方に読んでいただきたいというのが本音ですが、どういった方が好まれるかというと…普段から小説を読んでいる人で、「いつもとは違った感じのを読みたいな」と思っている方にはいいかもしれません。まず、キャラクターの設定がちゃんとしています。そのため、会話のやりとりが目の前で話しているかのように感じられます。そして、話は淡々と進んでいきますが、急にドキッとする言葉があったりします。1回目に読んだ時にはスルーしてしまった言葉も2回目に引っかかるということも多いです。
 また、テクノロジーとか哲学の描写が多いので、普段、新書とか教養文庫などをお読みの方もきっと満足いただけると思います。本は読んでいるけど、小説はなぁ~っという方におススメです。

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早瀬さんの本

 この本を読むまで早瀬さんを知りませんでしたが、実は「未必のマクベス」という本は話題になりましたので知っていました。ワタクシの購入予定本メモにも書いてあったのですが、作者を記入していなかったので…すみませんでした。
 最近は、インターネットで本のタイトルさえわかれば、検索して購入することもできるので便利ですよね~。というわけで、早瀬さんの本を紹介しますが、まだ、あまりお書きになっていないみたいで…非常にもったいないと思いますね~。

  1.  グリフォンズ・ガーデン ハヤカワ文庫 726円  早瀬さんのデビュー作。
  2.  未必のマクベス ハヤカワ文庫 1100円 マクベスのように闇に染まっていく男の犯罪恋愛小説。
  3.  プラネタリウムの外側 ハヤカワ文庫 704円  グリフォンズ・ガーデンの続編。
  4.  庶務省総務局KISS室政策白書 ハヤカワ文庫 858円  日本を救うショートストーリー15編。
  5.  彼女の知らない空 小学館 748円 今を生きる私たちの危機を描くショートストーリー。

というわけで、ほとんどが早川書房から出版されていますが、今回の「彼女の知らない空」だけは小学館です。

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最後に…

 というわけで、早瀬さんの「彼女の知らない空」という短編集を紹介させていただきました。とくにこの同名の短編が好きです。そして、この奥様は実はちゃんと知っているんじゃないかなぁ~っと一人で妄想してニヤニヤしています。

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 「彼女の知らない空」のインタビュー記事はコチラ。
   → https://shosetsu-maru.com/interviews/authors/1774

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